ぐりとぐら
「文字を読めることと、本を読めることは同じではありません 。」
さて、こうして、すぐれた絵本が、心の成長に応じて届けられたとしても、それをそのまま子どもへ差しだしたのでは、せっかくの宝の箱は開きません。
絵本とは、子どもに文字を教えて自分で読めるようにする本ではなくて、「大人が子どもに読んであげる本」なのです。
文字が読めるから、本が読めるわけではありません。本当の意味で本を読める子に育つには、むしろ、文字を早くから教えない方がよいのです。
では、文字を読めない子が本を読めるというのは、どうしてでしょうか。絵本を読んでもらっている子どもの心の中では、絵本の絵に助けられて、さまざまなイメージがひろがっています。
目の前の一枚の絵は、すでに固定したものではなく、子どもの中で動きだしています。物語を連続させるように動いています。つまり、実際には見ることのできない絵を心に描きだして見ています。
この「眼にみえないものをみる力(想像力)」こそが、本を読むために必要な力です。その力は、絵本を読んでもらうことによって、つちかわれます。
たどたどしく文字を拾い読みしている子どもには、そこに表現されたことがらが、豊かなイメージをもってその子の心にとらえられているでしょうか。
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